投票率
どうして投票率は下がり続けるのでしょうか?
私は日本が恵まれているからだと思っていました。
投票に行かなくても何も変わらないし、誰を選んでも生活は変わらないという理由だと・・。
データとすれば少し古いかもしれませんが、OECD加盟国の中でも1945年~2005年の投票率の低下が一番高い国はわが国。一方、デンマークやスウェーデンは、逆に上がっている。それだけではなく最初から高い。北欧各国は先進自由民主主義の中で最も高いと票率を実現している。
最初に選挙権を得たときに投票にいくか行かないかがその後の投票行動に大きく影響をしている。
アメリカなど社会の底辺に追いやられた層ほど、公式的な政治に参加する程度が低い。逆に教育的水準が高い人が本来もっと政治的活動をしてもいいのだが、逆に公式的な政治参加は減っているのが現状。
投票率は低いが民主主義への評価は高い。日本も92%近くの数字である。
昔チャーチルは、「民主主義は最悪の政治体制である。ただし今まで試行されてきたすべての政治体制をのぞき。」と言ったそうだが、民主主義の体制は評価しつつも選挙には行かない人が増え続けているという事実。
政治学者丸山眞男は、民主主義が民衆の活発な関与によって担われるためには、「どうしても国民の生活条件自体が社会的に保証され、手から口への生活にもっとゆとりが出来るということが根本だということにならざるをえません。」と言ったが、北欧の国の投票率と関連があるように思った。
そして丸山は幅広い意味での労働組合活動の重要性を言っていたが、長時間労働や失業の恐怖からなかなか難しいこともあげている。
なぜ、投票率が上がらないのか?もしかしたら非正規社員(会計年度任用職員)が増えて同じ会社の中でも立場が違う人がともに活動することもままならないと想像できる。北欧のように税金も高いが福祉も充実している。充実しているということは逆に関心も高まるのかもしれない。
日本のように借金(借金と言わに方もいる)が積みあがっていくばかりで、先への不安はつのるばかり。そして低負担中福祉という国家と国民の関係性が政治への関心を下げてしまっているのかも?
そして若い人は年金なんてもらえないと思っている人も多いのではないか?先行きへ不安を通り越してあきらめが、政治への無関心低投票率につながっているのでは?と思った。
誤解があっては困るし、良い悪いではなく、なぜ投票率は下がり続けるかを純粋に考えてみただけ。投票率が下がっても自由主義で低負担低福祉という自己責任を主張する人があってもそれは自由だ。でも投票率は上がらなくなるのかな?と予想される。
参照書籍
「政治はなぜ嫌われるのか」 コリン・ヘイ 岩波書店
「政治の世界」丸山眞男 岩波文庫