「米内光政」 阿川弘之
阿川弘之氏の海軍提督三部作の一つ。
二冊目の「井上成美」を読了したので、一冊目の感想を。
最後の一冊は、「山本五十六(上下)」はこれから。
読む順番はこれでいいのかわからないが、それはそれ。
この米内光政は海相であり内閣総理大臣も務めた。そして最後の海相。
太平洋戦争の終結を探った人物。
お酒が強く女性にもてたそうで、演説はあまり上手ではなかったらしい。
人物的にはその魅力にとても惹かれる。
読売新聞の記事が紹介されている、「今国会以来注目すべき重大発言だ、米内大将の言葉を要約すると、(一)軍人は政治に関与すべからず、(一)国防あって政治なき国家は滅亡する、(一)政治の運用には独裁的方法を排撃する、といったものに解釈して好い」ここに氏の信条があらわされているのではないか。
当時のなぜ?戦争は止められなかったのか。考えさせられる一冊。止めることができたかもしれない人物から思考しよう。
本棚に「世界史の中から考える」高坂正堯(新潮選書)がある。
その中では、米内光政について元海軍士官で歴史家池田清氏の言葉を紹介している。「二つの点で戦争拡大に責任がある。」と。一つは上海出兵と二つ目が盧溝橋事件から半年後の「国民政府を相手にせず」という近衛内閣に同調してしまったとことだと。
米内の魅力も紹介しておこう。
男たるもの女にもてることは重要な美徳のひとつなのである。断るまでもないが、それはやたらに女に手を出すものとは違う。大体そうした下品な人間は女にもてはしないのである。彼は“働き蜂”ではなかった。朝八時に出勤し、午後四時には官邸に帰って来た。そうでなくては大事なことを考えられないのである。今日の上に立つ人に、是非、まねして欲しいと。
新型コロナ騒ぎで、夜のスケジュールがこの数カ月なくなった。
一昨年、昨年と毎日のように会合に出席していたことと比較すると上記の記述は考えさせられることが多い。政治家だからやむを得ないのだが。
指導者たるべきもののあり方を考えさせてくれる。